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技術コラム

日本からEUに向けての〇〇油の輸出が増大!

日本からEUに向けて○○油の輸出が増大!

このタイトルを見てまさかと思われる方が多いと思います。○○に入る文字は廃食なんですが、それにしても不思議ですよね。

 食品工場や家庭からでる使用済み食油は、どう利用されているのでしょう。最新の資料1)をみると、事業系から出てくる量が38万トンあって、そのうち20万トンは家畜の飼料用に利用され、5万トンが石鹸等の製造に、10万トンは燃料として利用となっています。ところが、この燃料用の90%はEUに輸出されているのです。

 日本から船で燃料を使ってまでEUに輸出される背景には、環境意識が高いEU域内のエアラインは、環境にやさしい企業だと評価されるために、廃食油から製造したバイオジェット燃料を数%程度でも混合して使用しなければならない事情があるようです。

 以前は、食用に使用してきたパーム油、大豆油などをカーボンニュートラル燃料とみなす考えがありましたが、その後の研究2)により、食用作物に由来するバイオ燃料の多くは、あらたに森林を開き耕作地を広げる必要があるなど、生産に伴うCO2 排出増が使用による削減を上回ることがあきらかにされ、EUでもその使用に上限を設ける方向に転換しています。このような状況を考えると、世界的に廃食油の利用はますます重要性を増すと考えられます。

 国内には、以前から廃食油を燃料として使うエコなボイラや温水器を製造しているメーカがあり、そのような企業から時々、廃食油をきれいに燃やせる燃料ノズルはないか、JOノズルはどうか、などの相談を受けることがあります。廃食油は粘度が高いので一流体ノズルでは微粒化が悪く、どうしてもすすや煙が出やすくなります。JOノズルは超低空気圧で良好な微粒化ができるので、そのような用途には向いていると考えています。廃食油仕様のボイラなどをもっと普及させてくださいよ、というと、実は、廃食油の手当てに困っているんです、という返事が返ってきます。国内でも廃食油バイオジェット燃料の事業化が計画されており3)、原油価格の急騰もあって、争奪戦が続くかもしれませんが、応援したいです。    

地域で発生した廃食油を地域内の施設の小型ボイラや温水器の燃料として使用するメリットとしては、一度利用した廃棄物(正しくは、国内資源)の有効利用であること、バイオディーゼル燃料やバイオジェット燃料への再生に比べ簡易な処理で済みむこと、地産地消で輸送エネルギーが最小で地域活性化につながることなどが挙げられます。

  1. UCオイルのリサイクルの流れ図(令和3年度版)全国油脂事業協同組合連合会資料2022年4月
  2. Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 10
  3. 日経ESG specialレポート 航空の低炭素化、決め手となる燃料対策 2021.10.04

 

廃食用油を燃料として利用するメリット

・国内資源

・資源のリサイクル、まさに持続可能な事業

・地産地消(輸送エネルギー最小、地域起業、・・)

・バイオディーゼル燃料に再生するよりも簡易な処理で使用できる

・カーボンニュートラル

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